体勢を取り直し、無理に笑顔をつくって再び聞いた。「いつ頃、完成するんでしょう」その言葉に、棟梁はお茶をすすりながら、ちょっと考えてから答えた。「桃の節句の頃かな」この言葉に、再び、私は、のけ反るほどのショックを受けた。桃の節句といったら、3月でないか。実は、その前日、主人と、もしかしたら年内の引っ越しは、無理ではないかという話をしていた。最悪、1月末くらいになってしまうかもしれないが、それくらいの覚悟はしておいたほうがいいということも話していた。
[参考サイト]
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だが、新居で正月が迎えられないだけでなく、桃の節句まで作業がかかるなどということは、まったく予想していなかった。棟梁が冗談を言っているのではないかと顔を見ると、棟梁は、にこりともせずに茶をすすっている。まさかという思いに、棟梁の隣にいた親方にも、同じことを聞いた。「そうだなあ、壁は、あんまし寒い時に仕上げをすると、うまくない。ひと冬、ゆっくり荒壁を乾かして、雪が溶けてから仕上げにかかるってことになるから、桃の節句までっていうのは、ちょっと無理じゃないかねえ」この言葉に、私は、ますます混乱した。